あのね、みっちゃん 感想(ネタバレなし)|遠くで輝く星は、埋もれていた僕を見つけてくれた

1_心がほどけるBL

作品詳細
✍️作者:すう先生
🏢出版社(発行):ヒーローズ
📖レーベル:Re:zz COMICS
📚巻数:全1巻

ー遠くで輝く星だった

仕事も人付き合いも、なんかうまくいかない。
強面で口下手なせいで損してるのはわかってる。
でも直し方がわからない。

やっとの思いで採用された弁当屋は閉店が決まって、
お金も運も、どこかに置いてきてしまったみたいだ。

これが、光岡光—
通称みっちゃんの、三十路の現在地。

そんなみっちゃんの前に突然現れたのが、
同級生の清野清正。

清野は昔から、光る人だった。
学生時代から誰もが認める存在で、
今はイケメンすぎると話題の市議会議員。
ルックスを武器にしてるように見えて、
実は誰よりも市民のことを考えて、人一倍勉強して努力している。

みっちゃんにとって清野は、遠くで輝く星だった。
眩しくて、綺麗で、自分とは住む世界が違う人。

世界が違うと思っているからこそ、思い出すこともあまりなかった。

でも——清野の方は、ずっと覚えていた。

もてはやされることのほうが多い清野にも
学生時代、辛いことはあった。
やっかみから意地悪をされることだって。

それでも、みっちゃんのそばにいると元気が出た。
心が清らかなみっちゃんが、清野にとってずっと心の支えだったのだ。

あの頃、清野はみっちゃんに生徒会の推薦をお願いした。
いつも自信なさげにしているけど
みっちゃんには人の気持ちを掴む力がある、
みっちゃんは、自分にとってかけがえのない存在だよ。
そのことに気づいてほしくて。

みっちゃんはその期待に応えようと、
苦手ながらも必死に応援演説の練習をした。

でも偶然耳にしてしまった先生たちの言葉

「光岡じゃ清野の推薦人として役不足だ」

これがみっちゃんの足を止めた。
清野の足を引っ張ってはいけない。
そう思って、直前で辞退したのだ。


それを知らない清野は、深く傷ついた。
そして大人になったとき、清野はみっちゃんにこう言う。


「みっちゃん、また逃げるの?」

ー知らなかった、本当のこと

みっちゃんは知らなかった。
いつだって強くて輝いていた清野が、
小さい頃に自分があげた折り紙を
今も大事に持っていることを。
弁当を頼んだのだって、
もしかしたら確信犯だったかもしれないことを。

「わかっとらんね。みっちゃんは人の気持ち掴む才能があるけん」

星も自分を見ていた。
清野は数多いる砂の中から、
みっちゃんという原石を迷わず見つけていた。
みっちゃんが自分を見失いそうになっていたとき、
清野だけが見失わないでいてくれた。

この作品の読後感は、やさしくて少し痛い。
相手の幸せのためなら、辛いことだって引き受けてやる
——そういう不器用な愛情と、自分を照らしてくれる存在がいればなんだってできるという底知れぬパワーが静かに迫ってくる。

強面で不器用な三十路男が、ずっと星だと思っていた存在に
「僕のそばにいてほしい」と引き寄せられていく物語。

読み終わったあと、なぜかじんわりと、
自分のことも好きになれる気がした。

ーこんな人におすすめ

・不器用でも誠実な人が報われる話が好きな人
・自分に自信が持てない人
・離れていても想い続けてくれる関係性に弱い人

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