
血で汚れたYシャツ。
素足。下には何も身につけていない。
帰り道のスーパーで出会ったクラスメイトの白木は、
黒川の知っている白木じゃなかった。
黒川は思わず手を引いて、逃げた。
白木には事情があった。
母親の指示で身体を売り、生計を立てていること。
本当はやりたくないこと。
黒川は考えた。
もし自分の兄弟が同じ目にあっていたら。
答えは一つだった。
助ける以外の選択肢はない。
大学進学のために大切に貯めてきたお金を手に、
2人はあてもなく家を飛び出した。
「海が見たい」という白木のため、
行き先も決めず電車に飛び乗った。
旅の途中で、2人は少しずつ心を通わせていく。
でもホテルを出ると、警察に補導された。
白木は抵抗もせず、自分は家出少年だと名乗りをあげた。
家に連れ戻された黒川の胸に、ある感情が湧き上がる。
「ここ(家)に帰ってこられてよかった」
——白木はまた地獄に連れ戻されたのに、
そう思ってしまう自分が薄情だと。
その罪悪感を抱えたまま、黒川は大人になった。
時は過ぎ、横浜で教師として働く黒川は、
偶然立ち寄ったワインショップで白木と再会する。
あの逃避行の、答え合わせが始まる。
その答えが、何年もの罪悪感を静かに溶かしていく。
同じ夜が、2人にとってまったく違う意味を持っていた。
だから答えは、ずっと相手の中にあったのだ。
読み終えたあと、
タイトルの「半分あげる」が
深い意味を持って、胸に迫ってきます。
そして、この作品の「白」と「黒」という
2人の名前が気になりました。
似ている境遇でも、明るさを持つ者もいれば、
暗さを抱える者もいる。
周りにいる人や環境によって、
人は白にも黒にもなってしまう。
2人の名前には、
そんなメッセージが込められているのかもしれないと思いました。
こんな人におすすめ
・少年から大人に成長する過程が読みたい人。
・すれ違いと再会に弱い人。
・答え合わせの瞬間にぼろぼろ泣きたい人

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