半分あげる 感想(ネタバレなし)|あの夜の答えは、ずっと相手の中にあった。

1_心がほどけるBL

血で汚れたYシャツ。
素足。下には何も身につけていない。

帰り道のスーパーで出会ったクラスメイトの白木は、
黒川の知っている白木じゃなかった。

黒川は思わず手を引いて、逃げた。
白木には事情があった。
母親の指示で身体を売り、生計を立てていること。
本当はやりたくないこと。


黒川は考えた。
もし自分の兄弟が同じ目にあっていたら。

答えは一つだった。
助ける以外の選択肢はない。


大学進学のために大切に貯めてきたお金を手に、
2人はあてもなく家を飛び出した。
「海が見たい」という白木のため、
行き先も決めず電車に飛び乗った。


旅の途中で、2人は少しずつ心を通わせていく。
でもホテルを出ると、警察に補導された。
白木は抵抗もせず、自分は家出少年だと名乗りをあげた。


家に連れ戻された黒川の胸に、ある感情が湧き上がる。
「ここ(家)に帰ってこられてよかった」
——白木はまた地獄に連れ戻されたのに、
そう思ってしまう自分が薄情だと。

その罪悪感を抱えたまま、黒川は大人になった。


時は過ぎ、横浜で教師として働く黒川は、
偶然立ち寄ったワインショップで白木と再会する。

あの逃避行の、答え合わせが始まる。

その答えが、何年もの罪悪感を静かに溶かしていく。
同じ夜が、2人にとってまったく違う意味を持っていた。
だから答えは、ずっと相手の中にあったのだ。


読み終えたあと、
タイトルの「半分あげる」が
深い意味を持って、胸に迫ってきます。


そして、この作品の「白」と「黒」という
2人の名前が気になりました。

似ている境遇でも、明るさを持つ者もいれば、
暗さを抱える者もいる。

周りにいる人や環境によって、
人は白にも黒にもなってしまう。

2人の名前には、
そんなメッセージが込められているのかもしれないと思いました。

こんな人におすすめ
・少年から大人に成長する過程が読みたい人。
・すれ違いと再会に弱い人。
・答え合わせの瞬間にぼろぼろ泣きたい人

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