
いと【糸】名詞
① 繊維を細くより合わせたもの。
② 物事をつなぐ、細く見えにくい関係や筋道。
③ 人の縁・運命・思いなどを、比喩的に表したもの。
見えないものを信じるのは、
とても難しい。
気持ちも、縁も、関係性も、
目には見えないから。
『糸永くんの恋の糸』は、
そんな目に見えないものを、
「糸」というモチーフで
そっと可視化した物語です。
糸は、切れる。
糸は、からまる。
糸は、ほどける。
必死にたどろうとすればするほど、
こんがらがってしまうこともある。
この作品の二人も、
まさにそんな状態にいます。
お互いが、お互いを
大切に思っている。
それ自体は、
紛れもない事実なのに、
強烈にすれ違ってしまう。
なぜなら、
本音は、目に見えないから。
「相手が自分を好きになってくれるわけがない」
そう思ってしまった過去が、
二人にはあるから。
相手がくれる優しさを、
そのままの価値で受け取れない。
片方は、
相手への罪悪感から。
もう片方は、
理由のわからない拒絶によって生まれた
自信のなさから。
忘れたふりをしたこと。
見ていないことにしてしまったこと。
ふたをしてきた思いが、
少しずつ、
糸を複雑に絡ませてしまう。
「こんがらがった
恋の糸
いったん
きちんとほどいて
また繋ごう」
目をそらさずに、
相手をまっすぐに見る勇気。
それがどれほど難しく、
でも、
人と繋がるために大切なことなのか。
この作品は、
静かに、
でも確かに、
教えてくれます。
作者は、
1巻は「繋ぐ」
2巻は「縛る」
というテーマを掲げています。
もがきながらも、
それでも糸を伸ばそうとする二人の姿は、
とても力強く、
そして、やさしい。
こんな人におすすめ
・気持ちをうまく言葉にできず、
すれ違ってしまった経験がある人
・相手の優しさを、
そのまま受け取れなかったことがある人
・「縁」や「関係性」が、
どうやって続いていくのかに興味がある人
・愛しさと不安が、
同時に存在する関係に惹かれてしまう人


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