垣根と境内 感想(ネタバレなし)|好きな人にだけ、距離の取り方が分からなくなる

2_色気と濃度高めBL



「この人のこと、好きだな。」

そうやって片想いを自覚した瞬間から、
体の動かしさ方や、視線の向け方、
適切な距離感が急に分からなくなってしまう。

他の人とはスムーズに話せるのに、
なぜかその人の前では、
すべてがぎこちなくなってしまう。

そんな経験は、
誰にでもあるのではないでしょうか。

おまるさんは、
自分の中にあるコンプレックスや、
少し歪んだ感情を扱うのがとても上手です。

この作品では、
無邪気さと執着が、
とても近い場所で描かれているように感じました。

好きな食べ物は何だろう。
好きなタイプはどんな人なんだろう。
何をしているときが、一番楽しいんだろう。

好きな人のことは、
何でも知りたくなってしまう。

好きになることって、
きれいな気持ちだけじゃないよねと思いながら読みました。

片想いや推し活って、
少しだけプチストーカー的な側面があると、
私は思っています。

自分は相手のことをたくさん知っているのに、
相手は自分のことを、ほとんど知らない。

このアンバランスさや、
一方だけに生まれる執着が、

ときに不気味さや、
言葉にしづらい居心地の悪さを生んでしまう。

厄介なのは、
その気持ちが

「もっと知りたい」
「相手を愛しているだけ」

という、とても純粋なところから
始まっていることなんですよね。

振り向いてもらえるなんて、
最初から期待していない。

一緒にいて楽しい時間を共有したい人と、
一方的に知っているだけで満足してしまう人。

その小さなズレが、
もどかしくて せつない。

『垣根と境内』は、
好きだからこそ分からなくなってしまう距離感や、
踏み越えないと決めた優しさを、

とても誠実に描いた物語だと思いました。

こんな人におすすめ
・好きな人の前で、距離の取り方が分からなくなったことがある人
・片想いや推し活の中にある、きれいじゃない感情に覚えがある人
・「踏み出す勇気」よりも、「踏み越えない選択」に心が動く人
・美しいだけの恋でなく、人間くささに魅力を感じる人

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〔書影+リンク〕

※このブログでは、実際に読んで
 「お金を出してもよかった。」と思えた作品だけを紹介しています。

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